2015/8/13-16 北穂高岳東稜/滝谷クラック尾根

    同行者の報告書をベースにしたので長文です。

    ★メンバー:N川、M田(OWCC)、F森(Rocky)、kaz(teruru)

    ★記録:

    ●8月12日 車で移動(雨)
    22:00 阪急山田駅集合。N川車にて上高地を目指す。
    高槻辺りから雨が降り出す。

    1:36 松ノ木峠PA着。
    いつもの場所にテントを設営し、テントと車に分かれて仮眠。


    ●8月13日 上高地~涸沢(曇のち雨)
     6:10 松ノ木PA出発
     7:20~7:50 アカンダナ駐車場
     8:21~8:40 上高地
     9:25 明神
    10:25 徳沢
    11:30 横尾
    12:50 本谷橋
    15:05 涸沢

    アカンダナ駐車場にてザック重量を計測。
    N川:19kg、M田:18kg、F森:19kg、kaz:23kg
    初日の食担だったので生食材にしたら、重くなってしまった。

    7:50発の上高地行きのバスに乗車
    8:20 上高地着。山行計画書を提出。

    8:40 上高地出発。
    いつもなら明神岳や前穂高岳が見えるが、雨のため黙々と歩く。

    15:05 涸沢に到着。
    雨なのかテントの数も少なく好適地にテントを張ることができた。


    ●8月14日 北穂高岳東稜登攀(曇時々雨:テント場12℃)
     5:30 起床
     8:25 涸沢出発
     9:30 南稜との別れ(ルンゼ下部)
    11:30 ゴジラの背
    12:15 北穂高小屋
    14:20 涸沢

    計画では雨のため停滞する予定だったが、朝食を終え外の景色を眺めていると明るくなってきた。
    予報は午後から雨だが、北穂東稜なら行けるだろうということになった。
    計画書には北穂東稜の行動予定を記載していないため、テントに行動予定を書いたメモを残した。

    8:25 北穂東稜を目指し出発。
    南稜登山道から別れ北穂沢のガレ場をトラバース。
    途中でハーネスを装着し、右俣を登り東稜稜線上に立つ。
    s-P1000192.jpg

    稜線を北穂高岳方向に進むと右側にトラバースする踏み跡があり、ゴジラの背の手前までトラバースする。

    ゴジラの背の核心部手前からF森/kaz、N川/M田でザイルを組み、登攀開始。
    ここでタイミングわるく、雨が本降りになる。

    1ピッチ目はF森とM田がリード、2ピッチ目は自分とN川がリード。
    登ると言うよりトラバースするといった感じでナイフリッジを前進。
    s-P1000202.jpg
    s-P1000203.jpg

    核心部を抜け、そのまま稜線伝いに進むと懸垂下降が必要だが、右側をトラバースすれば歩いて進める。
    北穂高小屋、北穂山頂を経て、涸沢まで下った。


    ●8月15日 滝谷クラック尾根登攀(晴時々曇:テント場11℃、北穂高岳頂上5℃)
     0:50 起床
     1:50 涸沢出発
     4:40 北穂高岳頂上
     5:35~5:58 B沢入口
     9:30 取付
    15:50 終了点
    15:50~16:30 北穂高小屋
    18:35 涸沢

    1時に朝食をとり、滝谷に向け出発。
    まっ暗のなか南稜ルートで北穂高岳を目指す。

    休憩時に満点の星空を眺める。
    ペルセウス座流星群の時期なので、数分にひとつは流れ星が見える。

    北穂高岳頂上でご来光。
    s-DSC_1134.jpg

    s-DSC_1135.jpg
    とても寒い(気温5℃)。
    カッパを着る。
    この日はこの後も寒く、登攀が終わるまでカッパを脱ぐことはなかった。

    裏手から第2尾根が見える。クラック尾根はこの右側で見えない。
    s-P1000229.jpg

    大キレット方面に10分程下ると、縦走路の外れにB沢入口がある。
    s-P1000231.jpg
    縦走路の「×」印の先にあり、縦走路からこの表示は見えない。

    北穂から行く場合、鎖場を過ぎたあたりの稜線上の岩を目印にするとよい。
    s-P1000230.jpg

    ハーネスを装着し、B沢下降開始。
    非常に悪いガレ場を下っていく。
    s-P1000232.jpg
    一歩出すごとに岩雪崩を起こしそうで、足に変な力が入り疲れる。
    途中2回懸垂下降をした。

    約1時間で取付き手前の迂回ルートに到着。岩に白ペンキで「♂」が書いてある(写真の左下)。
    s-P1000235.jpg
    ネット情報ではフィックスロープが垂れ下がっているとあったが、存在しなかった。

    ここでクライミングシューズに履き替える。
    N川/kaz、M田/F森でザイルを組み、N川が先行して迂回ルートを進む。
    グレード的には難しくないが、ほとんどの岩が浮石なので非常に登りにくい。

    20m上と30m上に懸垂下降用の支点があり、先行パーティが上の支点を使っていたので我々も上を使った。
    そこから懸垂下降で20m程右側に下るが、誤ってテラスの下まで下る。
    下の支点を使う方が素直にテラスに降りれたかもしれない。

    我々が使った懸垂支点の下には突出した岩があり、先行パーティはそこにロープを引っ掛けて回収できなくなったので、N川が外してあげた。
    ラストのM田は、ロープが引っ掛からないようあらかじめ結び目を岩の下まで下げておき、そこまでプルージックで下降し、結び目の下で確保器に付け替えて懸垂下降をした。こういう判断をするところはさすがだと思う。

    懸垂で降りたところから1ピッチ登ったところの岩尾根が「クラック尾根」である。
    このピッチも浮石が多く、緊張の連続するアプローチだった。
    s-P1000242.jpg

    いよいよクラック尾根の登攀が始まる。

    1P Ⅲ (9:30~10:05)リード:N川、M田
    ホールドが豊富なフェースを直上し、凹角を左上。
    快適なピッチとなった。

    2P Ⅲ~Ⅴ A0(10:05~10:45)リード:kaz、F森
    垂壁を直上しリッジに出て、リッジ沿いに右のフェースを登る。
    出だしの垂壁が難しいが、お助け紐がぶら下がっている。
    リッジ上は適度にホールドがあり、高度感を感じながら進む。
    太陽が出てきて暖かい。
    s-P1000245.jpg

    3P Ⅱ~Ⅲ(10:45~11:25)リード:N川、M田
    ホールドが豊富な凹角をピナクルまで登り、旧めがねのコルまで下り気味にトラバース。
    この下りが少し難しかった。

    4P Ⅲ(11:25~12:05)リード:kaz、F森
    垂壁を登りバンドでピッチを切る。
    残置のハーケンが少ないため岩にスリングを掛けて手がかりにする。
    F森はカムを使ったとのこと。
    手を掛けたホールドが浮石でヒヤリとする。
    s-P1000247.jpg

    5P Ⅲ~Ⅴ(12:05~12:30)リード:N川、M田
    N川は直上するクラックを登るが、上部のチムニーが難しい。
    M田はバンドを右に回り込み、ホールド豊富なフェースを直上。

    6P Ⅳ A0(12:30~12:50)リード:N川、F森
    本ルートの核心部、ジャンケンクラック。
    2本のクラックと凹角があり、左のクラックを登る。
    s-P1000248.jpg

    7P Ⅲ(12:50~13:30)リード:kaz、M田
    ホールドが豊富な凹角を登る。
    s-P1000250.jpg

    8P Ⅰ(13:30~14:00)リード:N川、F森
    ガレ場のルンゼを登る。

    9P Ⅲ(14:00~14:30)リード:kaz、M田
    M田はチョックストン手前を左上し、ガレたルンゼの途中で切る。
    自分はルンゼの左岸を次の10Pまで登る。
    s-P1000253.jpg

    10P Ⅰ(14:30~14:50)リード:F森
    ルンゼ途中よりガレ場を登り稜線上に出る。

    11P Ⅲ(14:50~15:30)リード:N川、M田
    少し右に寄ってから、凹角を直上。
    ホールド豊富だが浮石も多い。
    s-P1000257.jpg

    12P Ⅲ(15:30~15:50)リード:kaz、F森
    いよいよ最終ピッチ。
    クラックをジグザグに登っていく。
    このピッチも残置支点が少ない。
    かぶり気味のところでハーケンを打つが、M田によるとアンダーホールドがあったらしい。
    F森はカムが有用であったとのこと。
    s-P1000259.jpg

    最終ピッチを登り終えると北穂高小屋の裏側に出る。
    とりあえず自分の登攀は終わりほっとする。
    ピンがないので岩にスリングを掛けて支点を作る。

    登山客が物珍しそうに話しかけてくる。
    下を覗き覗き込もうとするので、確保なしで身を乗り出さないよう注意する。

    登ってきたN川とがっちり握手し、クラック尾根無事踏破を祝う。

    北穂高小屋のテラスで装備を片付けていると、他の登山客に話しかけられたり装備の写真を撮られたりした。
    小屋のテラスでコーヒーを飲み一息いれてから涸沢へ下る。
    s-P1000262.jpg

    足が重くよちよち歩きの状態で涸沢に到着。
    ビールで乾杯。


    ●8月16日 涸沢~上高地 帰阪(晴)
     2:00 起床
     3:00 涸沢出発
     4:30 本谷橋
     5:53 横尾
     7:25 ナイロンザイル事件慰霊碑
     8:07 徳沢
     9:10 明神
    10:15上高地
    12:30 平湯温泉
    18:30 阪急山田駅

    テントを撤収し3:00に涸沢を出発。
    横尾まで2時間30分を予定していたが、疲れのため30分遅れで到着。

    前穂
    s-P1000266.jpg

    新村橋を渡り、ナイロンザイル事件の慰霊碑にお参り。
    途中、M田と自分が数十匹の猿の群に囲まれる。
    怖かったが、襲われることはなく無事生還。

    明神岳
    s-P1000278.jpg

    10:15 上高地到着。
    平湯温泉で4日間の汗を流し帰路につく。


    ★気象:
    ●予報
    ・13日発表
    14日:関東付近に発生した低気圧が三陸沖へ進む。この影響で、日本海から湿った空気が入りやすく、日中は飛騨側の山域を中心に雨が降りやすい。稜線では西寄りの風がやや強まる。700hPaで9℃以下の寒気が入るため、日中も気温が上がらず、防水・防寒対策は万全に。警戒事項:視界不良による道迷い 担当予報士:小林
    ・14日発表
    15日:低気圧は三陸沖に抜けるが、上層の谷が残り、高度約3,000mに8℃以下の寒気が入る。このため、朝のうちは晴れるところが多いが、日中は次第に槍穂や飛騨側の山岳からガスに覆われていく。午後遅くなると、槍穂や飛騨側の標高の高い場所からガスは取れていく。槍穂や笠ヶ岳、乗鞍の稜線では朝のうち西風がやや強まる。 担当予報士:猪熊

    ●実際の天候
    ・14日:13日の午後に前線が本州を南下したため13日の日中は雨だったが、夜には雨があがり、14日は朝からところどころ青空が見える。しかし山肌の雲は完全にとれず、次第に稜線が雲に覆われて昼前に再び雨が降る。午後からはゆっくりと回復傾向に向かう。
    15日:前線はさらに南下し西から高圧部に覆われため晴れる。500hpa高層には-6℃の寒気が入ってきたため、気温はこの時期としては低め。昼前から稜線ではガスがかかる。前線北側の比較的乾いた空気のため雷雨にはならず。なお、寒気が抜けた16日はすっきりとした青空が広がった。


    ★テクニカルノート:
    ●北穂東稜
    ・北穂東稜と平行して通っているトラバース道に水場があった。核心部手前くらい。ただし雨天後に現れるだけかも知れず、好天時は不明。

    ●クラック尾根
    ・クライミングギアとして、50mロープ、共用ヌンチャク6本、確保器、スリング、デイジーチェーン、安環、手袋、バイルorハンマー、ハーケン、カム。ヌンチャクは2人つるべで12本あれば十分。
    ・B沢下降時は落石の危険があることから、軍手等の手袋着用が望ましい。
    ・取付は、白ペンキで岩に"クラック"とマーキングされているとの情報だったが、殆ど読み取ることはできない。
    ・全体的に浮石が多い。いきなり体重をかけず、軽くたたいたり蹴ったりする慎重さが必要。

    ●全体
    ・ガスの使用量は、食事用で300g、衣類乾燥・暖房用で50g、計350g。
    ・涸沢ヒュッテの売店は18時に閉店する。小屋内受付前に自動販売機がある。


    文:原案;F森、編集;kaz
    写真:N川


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